骨折が起こりやすい部位

骨折が起こりやすい部位

新潟県佐渡市での調査では、骨粗しょう症による骨折が起こりやすい部位は、多い順から、背骨(脊椎)、太ももの付け根(大腿骨(だいたいこつ))、手首(橈骨(とうこつ))、腕の付け根(上腕骨)です。

骨折が起こりやすい部位

背骨の骨折は、上下の方向で押しつぶされたように骨折する、いわゆる「圧迫骨折」が起こります。骨折が治っても、つぶれた背骨は元の形には戻りません。そのため骨折が重なると、身長が低くなったり背中が丸くなったりします。ただし、背骨の骨折で痛みを自覚していた患者さんは全体の3分の1にすぎないという報告があり、気がつかないうちに骨折していることも少なくありません。若いころより身長が4cm以上低くなり、背中が丸くなっていれば、以前、背骨を骨折していた可能性が高いと考えられます。
また、背骨の骨折後には大腿骨を骨折することが多く、一回骨折を起こした方が続けて骨折を起こすことがよくあります。このように連続して起こる骨折を「骨折連鎖」といいます。
大腿骨を骨折すると手術が行われ、術後は歩いて生活することを目指しますが、筋力の低下によって寝たきりになることもあるため注意が必要です。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康放送
    こうして骨を守る 骨粗しょう症の予防と治療「忍び寄る骨粗しょう症」

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症になりやすいのは、次のような人です。骨がもろくなる原因はさまざまです。

高齢者
加齢によって、腸でのカルシウムの吸収が悪くなります。そのため食事で若いころと同じ量のカルシウムをとっていても吸収される量が減り、骨がもろくなる原因になります。

閉経後の女性
女性ホルモンには骨密度を保つ働きがあります。女性は、閉経を機に女性ホルモンの分泌量が急に減少するため、骨量が減少します。

過度のダイエットをした人
カルシウムなどを含めた栄養素が不足しやすく、骨が弱くなります。特に骨が成長する10歳代での過度のダイエットには大きな問題があります。骨量は20歳代で最大になるのですが、この時期に骨量が十分な量に達していないと、閉経後の早い時期に骨粗しょう症を起こしやすいことがわかっています。

運動不足
運動で体に適度な負荷をかけると骨芽細胞が活性化し、新しい骨を作る働きが促されますが、運動不足だと丈夫な骨が作られなくなります。

喫煙者
喫煙はエストロゲンの分泌を低下させるので、骨量が減ります。

過度の飲酒
過度の飲酒は骨芽細胞の働きを妨げ、骨を作る働きを低下させます。

糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病がある人
インスリンには骨芽細胞を増やす作用がありますが、糖尿病では、インスリンがうまく働かないので骨芽細胞が不足し、骨を作る働きが低下します。また、慢性腎臓病があると、血液中のカルシウム不足を補うために骨からカルシウムが溶け出し、骨量が減少します。

骨粗しょう症の家族歴がある人
特に母と娘は、食事をはじめとした生活環境や身体的な特徴が似ていることが多いため、骨密度も似るといわれています。母が骨粗しょう症になった場合、娘も注意が必要です。

 

 

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    こうして骨を守る 骨粗しょう症の予防と治療「忍び寄る骨粗しょう症」

骨粗しょう症の検査

骨粗しょう症による骨折を防ぐには、早期発見と対処が大切です。骨の量の目安となる「骨密度」を調べるには、次のような検査があります。女性の場合、閉経を迎えたら、1年または数年に1回は検査を受けましょう。男性も、一度は受診しておくと安心です。

MD法

MD法

手のエックス線写真で骨密度を測定する方法です。

骨粗しょう症の薬が必要な人

骨粗しょう症によって骨折を起こした人は、その後続けて骨折する危険性が2~4倍になるという報告があります。骨粗しょう症の予防や治療には運動と食事が大切ですが、それだけで不十分な場合には、骨折を防ぐために、薬による治療が行われます。
次のような人は、いずれも骨折の危険性が高いため、薬による治療が必要です。

  • わずかな衝撃で骨折した(脆弱(ぜいじゃく)性骨折がある)人(大腿骨(だいたいこつ)近位部骨折または椎体骨折)
  • 骨密度が若年成人の平均の70~80%未満の場合で、大腿骨近位部骨折の家族歴など、骨折の危険因子がある人

骨粗しょう症の薬

骨粗しょう症の薬
骨粗しょう症の薬

薬の作用を理解する上では、骨の新陳代謝の仕組みを知ることが重要です。破骨細胞が古い骨を壊して窪みを作り、その窪みを埋めるように骨芽細胞が集まり、新しい骨を作ります。健康な成人では、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスがとれているので、骨は常に新しく作り替えられ、丈夫な骨が保たれます。
しかし骨粗しょう症の場合、骨を壊す破骨細胞の働きが、骨を作る骨芽細胞の働きを上回り、骨の量が減少します。
骨粗しょう症の薬には次の3つのタイプがあり、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスを整えます。

骨粗しょう症の薬
骨を壊す働きを抑える薬
破骨細胞が骨を壊す働きを抑える作用があり、骨が作られる働きとのバランスを保ちます。
骨を作る働きを高める薬
骨芽細胞が骨を作る働きを促進する作用があり、骨が壊される働きとのバランスを保ちます。
骨の作り替えのバランスを整える薬
骨を壊す働きを抑え、さらに、骨を作る働きを促進する効果もあります。両方の作用によって、骨の作り替えのバランスを調整します。

薬のタイプと副作用

薬のタイプと副作用

骨粗しょう症の薬には次の3つのタイプがあります。

  1. 骨を壊す働きを抑える薬
  2. 骨を作る働きを高める薬
  3. 骨の作り替えのバランスを整える薬

多くの薬の中から、患者さんの「骨折の危険性」、「年齢」、「ライフスタイル」などに合わせて選択します。また「背骨に効果が高い薬」や「太ももの付け根の骨に効果が高い薬」など、骨折した部位によっても適した薬が異なるので、総合的に判断して使います。
骨粗しょう症の薬は、正しい用法で継続して使えば、骨密度を高めて骨折の危険性を減らす効果があります。基本的に、骨折を起こした人、骨量を減らすような病気のある人、運動や栄養の摂取が不足している人は、薬を続ける必要があります。

1 骨を壊す働きを抑える薬

1 骨を壊す働きを抑える薬
1 骨を壊す働きを抑える薬

骨を壊す働きを抑える薬には、「ビスホスホネート」、「デノスマブ」、「SERM(サーム)」があります。

ビスホスホネート

ビスホスホネートは、服用するタイプ、医療機関で注射するタイプや、点滴をするタイプがあります。のみ薬は、1日1回、週1回、月1回など服用間隔が違ういくつかのタイプがあります。点滴薬は、4週に1回、年に1回のタイプがあります。
のみ薬のビスホスホネートを使用する場合、服用前後には空腹状態にしておく必要があり、服用後も30~60分間は上体を起こしておかなければなりません。
もし服用前後に食事をすると、薬の吸収が大きく低下し治療効果に影響を及ぼします。また、服用してすぐ横になると薬の成分が逆流し、食道が炎症を起こしたり、潰瘍ができたりする恐れもあります。

デノスマブ

デノスマブは半年に1回、医療機関で皮下注射する薬です。骨密度を上げる効果は高く、比較的重症の方に使われます。

SERM

SERMは女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。骨折のリスクがあまり高くない、閉経後の50~60歳代の女性に多く使われています。

2 骨を作る働きを高める薬

2 骨を作る働きを高める薬

骨を作る働きを高める薬には「副甲状腺ホルモン薬」があります。骨形成を高める薬で、週に1回、医療機関で注射するタイプと、毎日1回、自己注射するタイプがあります。骨折が複数ある人や、骨密度が極めて低い人に使われる薬です。使用できる期間は24か月間です。

3 骨の作り替えのバランスを整える薬

3 骨の作り替えのバランスを整える薬

骨の作り替えのバランスを整える薬には「活性型ビタミンD₃薬」があります。破骨細胞の働きを抑えて骨を壊す作用を抑制します。また、小腸からのカルシウム吸収を促し、骨を作る働きも促進します。

副作用について

一部のビスホスホネートに吐き気や胃痛などの消化器症状が、SERMでは更年期障害の悪化がみられることがあります。一方、ビタミンD₃薬は、重大な副作用は少ないのが特徴です。
また、骨を壊す働きを抑えるビスホスホネートやデノスマブの副作用として、ごくまれに抜歯などの歯科治療時に顎の骨が壊死(えし)するケースが報告されています。歯科治療を受ける際には、骨を壊す働きを抑える薬を使っていることを伝え、口腔の衛生管理にも努めてください。また、まれですが、非定型大腿骨骨折もみられます。

この記事は以下の番組から作成しています

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    こうして骨を守る 骨粗しょう症の予防と治療「薬の選択」