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2018年04月8日

骨折が起こりやすい部位

骨折が起こりやすい部位

新潟県佐渡市での調査では、骨粗しょう症による骨折が起こりやすい部位は、多い順から、背骨(脊椎)、太ももの付け根(大腿骨(だいたいこつ))、手首(橈骨(とうこつ))、腕の付け根(上腕骨)です。

骨折が起こりやすい部位

背骨の骨折は、上下の方向で押しつぶされたように骨折する、いわゆる「圧迫骨折」が起こります。骨折が治っても、つぶれた背骨は元の形には戻りません。そのため骨折が重なると、身長が低くなったり背中が丸くなったりします。ただし、背骨の骨折で痛みを自覚していた患者さんは全体の3分の1にすぎないという報告があり、気がつかないうちに骨折していることも少なくありません。若いころより身長が4cm以上低くなり、背中が丸くなっていれば、以前、背骨を骨折していた可能性が高いと考えられます。
また、背骨の骨折後には大腿骨を骨折することが多く、一回骨折を起こした方が続けて骨折を起こすことがよくあります。このように連続して起こる骨折を「骨折連鎖」といいます。
大腿骨を骨折すると手術が行われ、術後は歩いて生活することを目指しますが、筋力の低下によって寝たきりになることもあるため注意が必要です。

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康放送
    こうして骨を守る 骨粗しょう症の予防と治療「忍び寄る骨粗しょう症」

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症の原因

骨粗しょう症になりやすいのは、次のような人です。骨がもろくなる原因はさまざまです。

高齢者
加齢によって、腸でのカルシウムの吸収が悪くなります。そのため食事で若いころと同じ量のカルシウムをとっていても吸収される量が減り、骨がもろくなる原因になります。

閉経後の女性
女性ホルモンには骨密度を保つ働きがあります。女性は、閉経を機に女性ホルモンの分泌量が急に減少するため、骨量が減少します。

過度のダイエットをした人
カルシウムなどを含めた栄養素が不足しやすく、骨が弱くなります。特に骨が成長する10歳代での過度のダイエットには大きな問題があります。骨量は20歳代で最大になるのですが、この時期に骨量が十分な量に達していないと、閉経後の早い時期に骨粗しょう症を起こしやすいことがわかっています。

運動不足
運動で体に適度な負荷をかけると骨芽細胞が活性化し、新しい骨を作る働きが促されますが、運動不足だと丈夫な骨が作られなくなります。

喫煙者
喫煙はエストロゲンの分泌を低下させるので、骨量が減ります。

過度の飲酒
過度の飲酒は骨芽細胞の働きを妨げ、骨を作る働きを低下させます。

糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病がある人
インスリンには骨芽細胞を増やす作用がありますが、糖尿病では、インスリンがうまく働かないので骨芽細胞が不足し、骨を作る働きが低下します。また、慢性腎臓病があると、血液中のカルシウム不足を補うために骨からカルシウムが溶け出し、骨量が減少します。

骨粗しょう症の家族歴がある人
特に母と娘は、食事をはじめとした生活環境や身体的な特徴が似ていることが多いため、骨密度も似るといわれています。母が骨粗しょう症になった場合、娘も注意が必要です。

 

 

  • きょうの健康放送
    こうして骨を守る 骨粗しょう症の予防と治療「忍び寄る骨粗しょう症」

骨粗しょう症の検査

骨粗しょう症による骨折を防ぐには、早期発見と対処が大切です。骨の量の目安となる「骨密度」を調べるには、次のような検査があります。女性の場合、閉経を迎えたら、1年または数年に1回は検査を受けましょう。男性も、一度は受診しておくと安心です。

MD法

MD法

手のエックス線写真で骨密度を測定する方法です。

骨粗しょう症の薬が必要な人

骨粗しょう症によって骨折を起こした人は、その後続けて骨折する危険性が2~4倍になるという報告があります。骨粗しょう症の予防や治療には運動と食事が大切ですが、それだけで不十分な場合には、骨折を防ぐために、薬による治療が行われます。
次のような人は、いずれも骨折の危険性が高いため、薬による治療が必要です。

  • わずかな衝撃で骨折した(脆弱(ぜいじゃく)性骨折がある)人(大腿骨(だいたいこつ)近位部骨折または椎体骨折)
  • 骨密度が若年成人の平均の70~80%未満の場合で、大腿骨近位部骨折の家族歴など、骨折の危険因子がある人

骨粗しょう症の薬

骨粗しょう症の薬
骨粗しょう症の薬

薬の作用を理解する上では、骨の新陳代謝の仕組みを知ることが重要です。破骨細胞が古い骨を壊して窪みを作り、その窪みを埋めるように骨芽細胞が集まり、新しい骨を作ります。健康な成人では、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスがとれているので、骨は常に新しく作り替えられ、丈夫な骨が保たれます。
しかし骨粗しょう症の場合、骨を壊す破骨細胞の働きが、骨を作る骨芽細胞の働きを上回り、骨の量が減少します。
骨粗しょう症の薬には次の3つのタイプがあり、破骨細胞と骨芽細胞の働きのバランスを整えます。

骨粗しょう症の薬
骨を壊す働きを抑える薬
破骨細胞が骨を壊す働きを抑える作用があり、骨が作られる働きとのバランスを保ちます。
骨を作る働きを高める薬
骨芽細胞が骨を作る働きを促進する作用があり、骨が壊される働きとのバランスを保ちます。
骨の作り替えのバランスを整える薬
骨を壊す働きを抑え、さらに、骨を作る働きを促進する効果もあります。両方の作用によって、骨の作り替えのバランスを調整します。

薬のタイプと副作用

薬のタイプと副作用

骨粗しょう症の薬には次の3つのタイプがあります。

  1. 骨を壊す働きを抑える薬
  2. 骨を作る働きを高める薬
  3. 骨の作り替えのバランスを整える薬

多くの薬の中から、患者さんの「骨折の危険性」、「年齢」、「ライフスタイル」などに合わせて選択します。また「背骨に効果が高い薬」や「太ももの付け根の骨に効果が高い薬」など、骨折した部位によっても適した薬が異なるので、総合的に判断して使います。
骨粗しょう症の薬は、正しい用法で継続して使えば、骨密度を高めて骨折の危険性を減らす効果があります。基本的に、骨折を起こした人、骨量を減らすような病気のある人、運動や栄養の摂取が不足している人は、薬を続ける必要があります。

1 骨を壊す働きを抑える薬

1 骨を壊す働きを抑える薬
1 骨を壊す働きを抑える薬

骨を壊す働きを抑える薬には、「ビスホスホネート」、「デノスマブ」、「SERM(サーム)」があります。

ビスホスホネート

ビスホスホネートは、服用するタイプ、医療機関で注射するタイプや、点滴をするタイプがあります。のみ薬は、1日1回、週1回、月1回など服用間隔が違ういくつかのタイプがあります。点滴薬は、4週に1回、年に1回のタイプがあります。
のみ薬のビスホスホネートを使用する場合、服用前後には空腹状態にしておく必要があり、服用後も30~60分間は上体を起こしておかなければなりません。
もし服用前後に食事をすると、薬の吸収が大きく低下し治療効果に影響を及ぼします。また、服用してすぐ横になると薬の成分が逆流し、食道が炎症を起こしたり、潰瘍ができたりする恐れもあります。

デノスマブ

デノスマブは半年に1回、医療機関で皮下注射する薬です。骨密度を上げる効果は高く、比較的重症の方に使われます。

SERM

SERMは女性ホルモンのエストロゲンと似た作用があります。骨折のリスクがあまり高くない、閉経後の50~60歳代の女性に多く使われています。

2 骨を作る働きを高める薬

2 骨を作る働きを高める薬

骨を作る働きを高める薬には「副甲状腺ホルモン薬」があります。骨形成を高める薬で、週に1回、医療機関で注射するタイプと、毎日1回、自己注射するタイプがあります。骨折が複数ある人や、骨密度が極めて低い人に使われる薬です。使用できる期間は24か月間です。

3 骨の作り替えのバランスを整える薬

3 骨の作り替えのバランスを整える薬

骨の作り替えのバランスを整える薬には「活性型ビタミンD₃薬」があります。破骨細胞の働きを抑えて骨を壊す作用を抑制します。また、小腸からのカルシウム吸収を促し、骨を作る働きも促進します。

副作用について

一部のビスホスホネートに吐き気や胃痛などの消化器症状が、SERMでは更年期障害の悪化がみられることがあります。一方、ビタミンD₃薬は、重大な副作用は少ないのが特徴です。
また、骨を壊す働きを抑えるビスホスホネートやデノスマブの副作用として、ごくまれに抜歯などの歯科治療時に顎の骨が壊死(えし)するケースが報告されています。歯科治療を受ける際には、骨を壊す働きを抑える薬を使っていることを伝え、口腔の衛生管理にも努めてください。また、まれですが、非定型大腿骨骨折もみられます。

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  • きょうの健康放送
    こうして骨を守る 骨粗しょう症の予防と治療「薬の選択」
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2018年03月2日

リハビリ機器導入しました

空圧マッサージ器:4種類のモードで脚の血行を促進します
温熱パック治療器:温熱に振動をプラスしたホットパック治療ができます
低周波治療器:独自波形の低周波で治療ができます

ウォーターベッド型マッサージ器:筋肉の柔軟性を向上させる治療モードを搭載しています

牽引装置:理想的な姿勢で腰椎を牽引でき、頸椎牽引も可能です

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2018年01月14日

歳を重ねるにつれて増加する高血圧 NHKきょうの健康

高血圧の診断基準
収縮期血圧&拡張期血圧

血圧が高い状態を高血圧といいますが、医療機関で高血圧と診断されるのは、上の血圧が140mmhg以上、もしくは下の血圧が90mmHg以上の場合です。上下ともこの基準値を超えている場合だけでなく、どちらか一方だけ超えていても高血圧となります。
血液は、心臓が収縮したり拡張したりすることで全身に送り出していますが、このとき血液が血管の壁を押す圧力を血圧といいます。血圧が高くなるのは、心臓がギュッと縮んで勢いよく血液が動脈に流れるときです。これが上の血圧で、収縮期血圧といわれています。一方、血液を送り出したあと心臓が広がって動脈にかかる圧力が低いときが下の血圧で、拡張期血圧ともいわれています。
高血圧は国民病ともいわれており、全国に4300万人もいると推計されています。高血圧は年をとるにつれて患者になる割合が増え、60代の男女でともに6割、70代では男性が約8割、女性が約7割もの人が高血圧と報告されています。

高血圧が引き起こす重大な病気

脳卒中の発症率

血管は圧力に対して痛みを感じないようにできているため、血圧が高くても自覚症状はありません。そのため、ある日突然、命に関わる重大な病気を引き起こす場合があるのです。
上のグラフのように、たとえば上の血圧が120mmHg未満かつ下の血圧が80mmHg未満の場合に比べて、140または90以上の場合、脳卒中の発症率は約3倍も高くなります。さらに、180または110以上の重度の高血圧になると、約8倍も発症率が高くなってしまいます。
血圧が140/90を超えると、脳卒中だけでなく認知症や心筋梗塞、末期腎不全などの発症率が高くなることも世界中のさまざまな研究によって明らかになっています。
ただし、生活習慣の改善や薬による治療などで血圧を下げれば、こういった病気の発症率を下げることは可能なので、日ごろの生活から血圧のコントロールを意識することが大切です。

 

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2017年10月7日

薬は血圧を下げるだけが目的ではない

薬は血圧を下げるだけが目的ではない

日本ではおよそ4300万人が高血圧と推計されていますが、そのうち薬をのんでいる人はおよそ半数といわれており、さらに、薬をのんでいる人の中で140/90mmHg未満まで血圧を下げられている人は、3~4割程度だと報告されていて、多くの人が適切に血圧をコントロールできていないことがわかっています。
その原因のひとつとして考えられるのが、薬に対する認識不足です。薬が嫌いだったり、のんでいたけど途中でやめてしまったりする人の中には、薬に対して間違ったイメージを持っていたり、薬をのむ本当の意味を理解していなかったりすることが考えられるのです。
じつは、血圧の薬は、血圧を下げるだけが目的ではありません。血圧を下げるのはあくまでも通過点であって、脳や心臓、腎臓などの大切な臓器を守るのが、本当の目的なのです。
脳・心臓・腎臓は、高血圧によってとくにダメージを受けやすい臓器なので、血圧の薬をのむことで、大切な臓器を守っているという意識をもつようにしてください。

2タイプある高血圧の薬

高血圧の主な薬

血圧を下げる薬には、大きく分けて血管を広げることで血圧を下げるタイプと、血液の量を減らして血圧を下げるタイプの2タイプがあります。
血管を広げる薬には、カルシウム拮抗薬やARB、ACE阻害薬などがあり、血液の量を減らす薬には、利尿薬があります。一般的に、これらの薬は、血圧の値やほかの病気などを踏まえて2〜3種類併用する場合もあります。
現在使われている薬は、工夫や改良がこらされていて、効果は高く、副作用も少ないものがほとんどです。万が一、いま薬をのんでいて気になる症状や不快な症状がある場合は、自分の判断でのむのをやめたりせず、担当の医師に相談して自分に合った薬を見つけましょう。 NHK今日の健康

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2017年06月21日

禁煙外来始めました。

ご希望の方はお電話いただき、日程をご予約ください。48-1112

内服治療のみです。

保険適応のある方は、下記となります。

指導は

月、火、水、金 午後4時30分から

土 12時から

http://sugu-kinen.jp/(ファイザー社のサイトになります)

健康保険等を使って、禁煙ができます

ニコチン依存症は病気であるということが認識されるようになり、2006年4月から、一定の条件を満たせば、健康保険等を使って禁煙治療を受けることができるようになりました。

その条件は、以下の4つです。

  1. 1ニコチン依存症の判定テストが5点以上
  2. 2[1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数]が200以上
    (2016年4月より35歳未満には上記要件がなくなりました)
  3. 3ただちに禁煙を始めたいと思っている
  4. 4禁煙治療を受けることを文書で同意している
 
 
1前回の治療の初回診療日から1年経過していること。

過去に健康保険等で禁煙治療を受けたことのある方の場合、前回の治療の初回診察日から1年経過しないうちは、自由診療となります。なお、最終的なニコチン依存症の診断は医師が行います。

過去に、禁煙治療を行った人で、再喫煙をしてしまっても、もう一度、挑戦できます。

2健康保険等が適用される「禁煙治療を受けるための要件」4点を満たしていること。
ニコチン依存症を診断するテスト5点以上ニコチン依存症のチェック
35歳以上
1日の平均喫煙本数
 × 
これまでの喫煙年数
 
= 
200以上
35歳未満
2016年4月より35歳未満には上記要件がなくなりました。
1ヶ月以内に禁煙を始めたいと思っている
禁煙治療を受けることに文書で同意している 
(→問診票などに、日付や自分の氏名を書きます。)

現在、健康保険等※1を使って禁煙治療が受けられるようになりました。禁煙治療(自己負担3割として)は、処方される薬にもよりますが8~12週間で13,000円~20,000円程度※2です。1日1箱喫煙する方なら、8~12週間分のタバコ代より保険診療で禁煙治療を受けた場合の自己負担額のほうが安くなる計算になります。(詳しくは医療機関にお問い合わせください。)

  1. 本web中の健康保険等とは、公的医療保険のことで、組合管掌健康保険、全国健康保険協会管掌健康保険、船員保険、各種共済組合管掌健康保険、国民健康保険等を指しています。
  2. 「日本循環器学会、日本肺癌学会、日本癌学会、日本呼吸器学会:禁煙治療のための標準手順書 
    第6版:2014」に記載されている健康保険等で禁煙治療のみを行った場合の自己負担額(3割負担として13,080円~19,660円)に基づいています。
  3. 1日1箱吸う人を想定しています(1日430円換算)
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2016年11月3日

糖尿病 治療の秘けつ「高齢者の糖尿病」

 

新たな血糖管理の目標

 2016年5月、日本糖尿病学会と日本老年医学会は、糖尿病の高齢者がめざすべき血糖管理目標を新しく定めました。一般成人は過去1〜2か月の血糖値の平均を示すヘモグロビンA1cで7%未満が基本の目標ですが、高齢者は一人一人の健康状態などに応じ7%未満、7.5%未満、8%未満、8.5%未満のいずれかを目標にします。つまり、高齢者は少しゆるめの目標にするのです。

低血糖のリスク

 高齢者の目標をゆるめた最大の理由は、低血糖を防ぐことです。低血糖とは糖尿病の薬が効き過ぎるなどによって血糖値が下がり過ぎることを言います。高齢者は薬を分解する肝臓や、薬を排せつする腎臓の働きが低下するため、血糖を下げる薬が効き過ぎて低血糖を起こしやすくなるのです。しかも、自律神経や認知機能が低下している場合は低血糖に気づきにくくなります。高齢者が重い低血糖を起こした場合、心筋梗塞脳梗塞認知機能低下転倒骨折などのリスクが高まります。糖尿病の治療は高血糖を改善するために行いますが、低血糖も同じくらい避ける必要があるのです。

低血糖を防ぐには

 低血糖を防ぐには、まず重い低血糖を起こしやすい薬を知っておくことです。インスリン製剤スルホニル尿素薬速効型インスリン分泌促進薬などがそれに当たります。これらを使っている場合、薬をいつも通り使っていても、食事を抜いたり、食事の量が少なかったり、仕事や運動で体を激しく動かしたりすると、血糖値が下がりすぎることがあるのです。

健康状態と薬で変わる目標値

 高齢者の目標値は一人一人の状態に応じて設定します。まず認知機能日常生活動作自立度に応じ3つのカテゴリーに分けます。認知機能が正常で日常生活動作も自立している人はカテゴリー1です。認知機能に軽い障害がある人や日常生活動作が少し低下して買い物や食事の準備が自立してできない人はカテゴリー2です。認知症がある程度進んでいる人や日常生活動作が大きく低下して、服を着る・入浴・トイレなどの基本の動作もできない人はカテゴリー3です。持病が多い人などもカテゴリー3です。
 さらに使っている薬に注目します。低血糖が心配されるインスリン製剤・スルホニル尿素薬・速効型インスリン分泌促進薬などを使っているかどうかで目標値が変わるのです。低血糖を起こしやすい薬を使っている場合は下限値も定められました。これより低い値になると低血糖が特に起こりやすいため、これより低い値は目指さないという意味です。

筋肉減少にも注意

 高齢者は筋肉減少筋力低下が起こりやすく、それが糖尿病を悪化させます。筋肉が減ると筋肉のブドウ糖消費量が減ります。そのため、血糖値が上がりやすくなるのです。糖尿病の原因には、すい臓のインスリン分泌低下と肥満によるインスリン抵抗性の2つが知られていますが、筋肉の減少は3つ目の原因とも言われます。そこで高齢者は筋肉を維持するための運動を積極的に行うことが勧められます。たとえばスクワット。安全のため、椅子を使ってゆっくり立ち上がったり座ったりします。筋肉量の多い太ももやお尻が鍛えられます。片足で立つ運動はより簡単です。転倒を避けるために机などの横で、左右の足でそれぞれ1分くらいずつ続けて立ちます。なお、運動は主治医に相談してから開始してください。

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2016年11月3日

 

糖尿病 治療の秘けつ「合併症を食い止める」

糖尿病の合併症

 糖尿病と診断されても多くの場合、自覚症状はありません。しかし血糖値が高い状態を長く放置すると、全身のあちこちの血管が傷つき、様々な病気を招いてしまいます。これを糖尿病の合併症と言います。
 が悪くなる糖尿病網膜症腎臓が悪くなる糖尿病腎症神経が悪くなる糖尿病神経障害の3つが代表的で「三大合併症」と呼ばれます。最悪の場合それぞれ失明透析治療足の指などの切断にまで至ります。また、糖尿病は動脈硬化を進め、最終的には脳梗塞心筋梗塞といった命に関わる病気も引き起こします。

糖尿病網膜症

 糖尿病網膜症網膜の細い血管が障害されて起こります。血管が詰まったところに新生血管というものができますが、新生血管はすぐに出血し、そこに増殖膜というものを作ります。新生血管と増殖膜は硝子体と網膜を癒着させるため、加齢などによって硝子体が縮むときに網膜が引き剥がされてしまいます。その結果、視力が著しく低下したり失明したりします。
 網膜症の多くが初期には自覚症状がありません。ものが見えにくい症状が現れたら、相当悪化しています。早期発見には眼科を定期的に受診し眼底検査を受けることが必要です。
 網膜症の予防と治療には血糖管理が最も大切です。過去1~2か月の血糖値の平均を表すヘモグロビンA1cという血液検査の値を7%未満に保つことが必要です。これは三大合併症で共通しています。網膜症がかなり進行した場合は、網膜にレーザーを当てて新生血管ができないようにする光凝固療法や、増殖膜を取り除く手術も行われます。

糖尿病腎症

 腎臓は体内の老廃物を排せつしたり塩分・水分を調節したりする臓器です。この働きが徐々に低下するのが腎症です。腎症になると、老廃物などが体内に溜まったり、必要なたんぱくが尿に漏れたりします。
 腎症も最初は自覚症状がなく、だるさ・むくみ・吐き気・食欲不振などが現われた場合は相当進行しています。早期発見には尿中アルブミン検査が有効です。たんぱくの一種、アルブミンは腎症のごく早期から尿に漏れるため、尿検査でそれを見つけるのです。職場や自治体の健康診断の尿検査や血液検査では、腎症がある程度進行してからでないと発見できません。
 腎症の予防と治療にも血糖管理が大切ですが、血圧管理も欠かせません。目標は130/80mmHg未満で、通常の高血圧の治療より厳しい値です。食事では減塩が必要です。目標は1日6g未満。腎症が進行した場合、たんぱく質やカリウムを制限することもあります。

神経障害

 神経障害足の指足の裏のしびれ痛み感覚まひが、しばしば最初に現われます。これは体の感覚をつかさどる末梢神経が傷ついて起こります。内臓の働きを調節する自律神経が傷ついて、胃のもたれ・便秘・下痢・立ちくらみなどが起こることもあります。
 神経障害の予防と治療も血糖管理が最も大切です。発症した場合には、しびれや痛みなどの症状をやわらげるアルドース還元酵素阻害薬などの薬を使います。また喫煙・飲酒を避けたり、高血圧・脂質異常症を改善することも予防と治療につながります。

がんと認知症

 最近では、がん認知症も糖尿病の合併症とみなされています。特に、肝臓がんは2.0倍、すい臓がんは1.9倍、大腸がんは1.4倍、それぞれ危険性が高まるとみられています。同じ生活習慣が糖尿病とがんに共通して影響するほか、インスリン抵抗性ががん細胞の増殖を促す可能性も指摘されています。認知症ではアルツハイマー型の危険性が2.1倍に高まるとの報告があります。

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2016年11月3日

糖尿病 治療の秘けつ「薬の効き方を知ろう」

 

糖尿病の薬

 糖尿病の薬にはのみ薬注射薬があります。のみ薬は7種類に分かれます。どの薬にも血糖値を下げる効果がありますが、下げる仕組みはさまざまです。
 ビグアナイド薬チアゾリジン薬インスリン抵抗性を改善して、インスリンの効きをよくする薬です。肥満が主な原因で糖尿病になった場合によく使われます。
 スルホニル尿素薬速効型インスリン分泌促進薬DPP-4阻害薬は、すい臓からのインスリン分泌を促進する薬です。遺伝的体質や加齢によるインスリン分泌低下が主な原因で糖尿病になった場合によく使われます。

糖尿病による低血糖

 糖尿病は血糖値が高くなる病気なので、薬で血糖値を下げますが、薬が効き過ぎて血糖値が低くなり過ぎることがあります。これが低血糖です。
 低血糖になると、まず空腹感、脱力感、冷や汗、ふるえ、動悸[き]などの症状が現れます。血糖値がさらに下がると、頭痛、吐き気、目のかすみ、集中力低下なども起こります。もっとひどくなると、意識障害、けいれんなどに至ります。
 インスリン分泌を促進する薬のうち、速効型インスリン分泌促進薬スルホニル尿素薬は低血糖を起こしやすい薬です。DPP-4阻害薬は食後など血糖値が高くなるときにだけ作用するため、低血糖を起こしにくい薬です。

糖尿病ののみ薬(SGLT−2阻害薬など)

 SGLT−2阻害薬は最も新しいのみ薬です。仕組みも他の薬とは異なり、腎臓に作用し、血液中のブドウ糖を尿の中にたくさん排泄させることで血糖値を下げます。
 このほか、αグルコシダーゼ阻害薬は、小腸で炭水化物がブドウ糖などに「分解されるのを遅くする」ことで、血糖値の急な上昇を抑えます。

糖尿病の注射薬(インスリン製剤)

 糖尿病の薬には自分で打つ注射薬もあります。多くはインスリン製剤で、インスリン分泌の低下を補います。
 1型糖尿病は多くの場合、診断された時点でインスリンが分泌されていないため、最初からインスリン製剤が不可欠です。2型糖尿病はインスリン分泌が徐々に低下するため、病気がかなり進行した段階でインスリン製剤を開始することが一般的です。
 インスリン製剤はのみ薬以上に「低血糖」に注意しなければなりません。すい臓のインスリン分泌が低下しているため、インスリン製剤が血糖値を特に大きく左右するからです。

糖尿病の注射薬(GLP-1受容体作動薬)

 インスリン製剤以外の注射薬としてGLP-1受容体作動薬が登場しました。すい臓のインスリン分泌を促進する薬ですが、DPP-4阻害薬とほぼ同じ仕組みなので、低血糖を起こしにくいことが特長です。効果はDPP-4阻害薬より強く、血糖値がかなり高い人などに使われます。食欲を抑制する作用もあるため、体重を落としたい人にも向いています。

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2016年11月3日

糖尿病 治療の秘けつ「糖尿病 2つの原因」

 

糖尿病とは

 体内では血液にのってブドウ糖が全身をめぐり、細胞のエネルギー源として使われています。食事をすると血液中のブドウ糖が増えます。すると、すい臓から分泌されるインスリンというホルモンが働いて、ブドウ糖の多くは肝臓・筋肉・脂肪組織に蓄えられます。その結果、血液中のブドウ糖が減ります。しかし、糖尿病の人では、このインスリンの仕組みがうまく働かないため、ブドウ糖が血液中に増えてしまいます。この状態を「血糖値が高い」といいます。血糖値が高い状態が続くと、ブドウ糖が全身の血管を傷つけてしまいます。

糖尿病の原因はインスリン抵抗性とインスリン分泌低下

 インスリンの仕組みがうまく働かなくなる原因は2つあります。1つは肥満です。肥満になると、インスリンが十分に分泌されても、脂肪組織から出る物質がインスリンのじゃまをして、肝臓・筋肉・脂肪組織でインスリンが効きにくくなります。これをインスリン抵抗性といいます。もう1つの原因は、すい臓からのインスリン分泌が低下することです。これには遺伝的体質や加齢が影響します。
 糖尿病には1型と2型があり、90%以上を占める2型糖尿病は、インスリン抵抗性とインスリン分泌低下の2つが重なって起こり、多くは中年以降に発症します。1型糖尿病は自己免疫疾患などによってインスリンを分泌するすい臓の細胞が壊れて起こります。小児の発症も少なくありません。

日本人の患者の特徴

 アメリカの糖尿病患者は肥満度を表すBMIが平均30を超えています。かなりの肥満です。ところが日本の糖尿病患者のBMIは平均25弱。肥満の一歩手前くらいです。この違いは、日本人のインスリン分泌能力が欧米人に比べて低いことによります。日本人は肥満でなくても糖尿病になりやすいのです。特に体重が20歳の時に比べて10キロ以上増えたら、糖尿病の危険信号と言われます。

糖尿病の治療には生活習慣の改善が有効

 

 糖尿病を治療するには、まず食事運動などの生活習慣改善します。それでも血糖値が十分下がらなければ、薬を使います。
 糖尿病の食事療法は、食べ過ぎない、食品の種類を多くする、3食規則正しくとる、糖分の吸収をゆるやかにする食物繊維を多くとる、などがポイントです。
 糖尿病の運動療法は、ウォーキングなどの有酸素運動を1日20分から60分、できれば毎日行います。スクワットなどの筋力トレーニングを合わせて行うと、いっそう効果的です。
 食事と運動の改善で肥満が解消できれば、インスリンが効きやすくなって、血糖値が下がります。肥満ではない人も食事と運動の改善は不可欠です。ただし、インスリン分泌がかなり低下している場合は、薬も重要になります。

NHK 今日の健康より

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2016年09月11日

2016年05月04日(水)放送

血管の老化を防ぐ!「食事と薬」

肉の脂肪に含まれる飽和脂肪酸

飽和脂肪酸の摂取基準

 肉などの脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれています。この飽和脂肪酸には、動脈硬化を進める血液中のLDLコレステロールを増やす作用があります。飽和脂肪酸は、総摂取エネルギーの7%以下にする必要があり、1日2000キロカロリー摂取する人の場合、牛バラ肉では1日100グラムが上限です。

魚の不飽和脂肪酸

EPAと心血管病の危険度

 魚には不飽和脂肪酸がたくさん含まれています。不飽和脂肪酸には、血液中のLDLコレステロールを上げず、中性脂肪を下げる作用があります。いわし、さば、さんまといった青魚には不飽和脂肪酸が多く含まれています。特に、不飽和脂肪酸のひとつであるEPAには、血液を固まりにくくして心血管病を防ぐ作用があります。実際に、血液中のEPAの割合が高い人ほど、心筋梗塞や脳梗塞を発症しにくいという日本人を対象とした研究調査があります。

内臓脂肪型肥満

内臓脂肪型肥満の危険度

 食事は食べ過ぎないことが動脈硬化の予防につながります。内臓脂肪型肥満の人が脳梗塞や心筋梗塞を発症する危険度をみた調査結果では、内臓脂肪型肥満でない人に比べて脳梗塞の危険度は1.6倍、心筋梗塞の危険度は2.0倍にもなります。

内臓脂肪型肥満の改善

 今回ご紹介したKさんが改善した食事のポイントは、甘いものを控えることと、たくさん食べていたご飯の量を減らすことです。高血糖は中性脂肪やコレステロールを上げる原因になります。ご飯100gはおよそ160キロカロリーになります。Kさんは1日お茶碗3杯分(480キロカロリー)を減らしました。1か月(30日)では1万4400キロカロリーになります。これは2キログラム分の体脂肪を減らすことに相当します。

動脈硬化の薬

主な動脈硬化の薬

 原則としては、生活習慣の改善を十分に行ってもLDLコレステロールの値などが改善しない場合に薬を検討します。LDLコレステロールが高い人に対してよく使われているのはスタチンです。それでも下がらない場合にはエゼチミブまたはレジンが使われます。中性脂肪が高い場合にはフィブラート系の薬とEPA製剤が使われます。

詳しい内容については、きょうの健康テキスト5月号に掲載されています。
きょうの健康テキスト5月号
きょうの健康 テキスト

※2016年5月現在の情報です。

小山クリニック〒487-0006
春日井市石尾台2-4-12
TEL 0568-48-1112

 

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